三つの色が集まるところ

1999/11/11に見た夢。

友人と、その中学の同級生とコンクリートの角で待合せをしている。太陽がかなり地上に近いようで、影が濡れたように黒く、光は物質の色を奪ってしまう。 人のごったがえした繁華街の中で、太陽を人を避けるように、ひっそりと湿ったコンクリートの影で待っていると、正装した友人達がやってきた。 自分だけジーパンにTシャツで、何か勘違いしているのかと思ったけど、恥ずかしくはなく、むしろ自由でいられるのは自分だけなんだとも感じていた。 一緒に、若い人がたくさん集っているホールのような映画館の前に立つと、待合せをしたにも関わらず、僕一人だけ映画館へ入ってゆく。

ぼんやりと燻る電球が、いかにも古めかしい映画館を思わせたが、設備はこぎれいに整えられているようだった。暗闇に目が慣れると、たくさんの人が席に腰を降ろして声もなく喋っている。 一番後ろの列が空いていたので、その中央へ座り、映画が始まるのを待っていると。いつのまにか、白と黒のチェックのワンピースの女の子が隣に座っているのに気付いた。よく目を凝らして見ようとすると照明が落ち、暗闇に自分しかいないと思うほど真っ暗になる。

予告もなく映画の本編が始まり、アメリカの若い男女が話している映像が写し出されている。同じシーンなのだが、映画の中で数秒ごとに役者というか人間が入れ替わり、スクリーンの中で変身を繰り返しているように見えるほど。 そのまましばらく見続けていると、話し合っている男女の顔が近づきキスをする。そのキスシーンも同じように人間が入れ替わり続けているのだけど、替わる頻度がだんだんと早くなっている。 キスシーンが続く間、だんだんと視界がぼやけてきて、というより映画のピントがずれていっているような。人物以外の背景や服、小道具の明るい部分、または原色の部分。つまりスクリーンに光の当っている部分が徐々に画面から滲み出して、横方向へズレてゆく。 映画のシーンが変っても、同じように光の部分だけが惨むように移動していった。

天井の低いホールの横壁に光が集まっていて、今ではスクリーンの白さ以上に輝いている。落ち着いた茶色の壁に集まった光は動き続け、光のかたまりと壁との境界線あたりには、緑と青と赤の小さな光の粒がぴょんぴょんと跳ねている。 僕は隣に座っていた女の子と、いつの間にか映画館の後ろの壁に寄りかかっていた。彼女は映画を見ていたが、僕はその光のかたまりが気になって映画どころではなかった。 すると、その光のかたまりは白い体を徐々に分解させ、赤、緑、青の幾万の粒になり、風に飛ばされるようにこっちへ流れてきた。 そのまま、光の粒は飛んで行くのだろうと思っていたが、宿り木を探す鳥のように、彼女の体の上へ集まってきた。じっと観察していると、赤、緑、青の粒が重なった瞬間に、彼女の体の色を奪うように発光し、蛍のように輝きはじめる。ひとつ、またひとつ、そうして彼女全体を覆うように包むと。いつか理科で、虫めがねで太陽の光を集める実験したように、集約した光が彼女の体を燃やしてしまうのではないかと考えた。

しかし、隣りにいる彼女からは、温度の変化を感じず。むしろ、光が強さを増していくたびに、体の熱を奪っているかと感じたほどだ。

突然、場内の照明が点灯し、周囲が明るくなる。観客のざわめきを見て映画の終りに気付いたが、隣りの彼女を振り返ると、すでに姿はそこにはなく、二つ三つの光の粒が床に落ち、跳ねて姿を消そうとしていた。 映画館を出て、待合わせをしていたコンクリートの壁をさわってみると。光の当っている場所は温かく、影になっている場所はひんやりと冷たかった。僕はそれからしばらく、光を受けると自分の色が分解されてしまうもの、と思い込んでしまい、影に潜む、たくさんの色が懐かしくてしょうがなかった。

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